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食事

  • 解説

生活習慣病の要因は?

まず初めに、豊田自動織機健康保険組合員が病気やけがでお医者さんにかかる際の医療費の内訳と、そこに占める「生活習慣病」の割合を示した図があります。

H.24年度被保険者1人当りの医療費内訳

年間の1人当りの医療費の第2位を「生活習慣病」(14%)が占めています。
さらに「生活習慣病」の中で医療費の半分以上を占めているのは『血液に関係する疾患』であることがわかります。
『血液に関係する疾患』とは具体的には、「脂質代謝異常」、「高血圧症」、「糖代謝異常」の3項目と、これらが悪化して発病する可能性がある「動脈硬化症」や「脳梗塞」です。

「脂質代謝異常」とは血中の脂肪が多い病気、「高血圧症」とは文字通り病気、「糖代謝異常」とは血中の糖分が多い病気です。
過去、「脂質代謝異常」や「糖代謝異常」は「高血圧症」とは原因が異なるといわれていましたが、近年の研究でこれらには密接な関係があり、これらが合併した状態で「生活習慣病」になる危険性が増すと考えられ、腹囲とともにメタボリックシンドロームの指標となっています。

特定健診・特定保健指導

また、「脂質代謝異常」や「糖代謝異常」になると血中の脂肪分や糖分が多くなるため血液の粘性が高くなり(血液がドロドロの状態)、血圧は上がる傾向があります。

ご自分の健康診断結果をチェックしてみる

皆さんが受けた健康診断で最も新しい結果があればチェックしてみましょう。血圧が高い方はもちろん、血圧が正常値の方も血液検査の結果から「脂質代謝」、「糖代謝」が正常かを見てみましょう。

脂質代謝 総コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、LDL(悪玉)コレステロール、中性脂肪
糖代謝 空腹時血糖、HbA1c

「脂質代謝」、「糖代謝」に関係する項目に異常が見られる方は、今は問題が無くても将来血圧が上がってくる、などのリスクが考えられます。
また、「脂質代謝異常」は血中の脂肪が多く、「糖代謝異常」は血中の糖分が多いため、後ほど説明するように体に脂肪が蓄積されやすい状態にある⇒お腹が出る⇒「メタボ」になりやすいということです。

生活習慣病になりにくい食事

この状態を改善するために私たちができる最も身近なことは、食習慣の改善と運動です。食習慣や運動といった生活習慣の改善をすることにより、「脂質代謝」や「糖代謝」の数値も改善します。
ここでは、食事がメタボや生活習慣病にどのように影響するのか、また食事のメニューや食事のとり方をどのように改善すればよいかについて説明します。
メタボリックシンドロームやこれに起因する生活習慣病などを予防するには、毎日の食事内容を見直すのが効果的です。

太りにくく、健康体を維持する食事

1.脂肪の蓄積を抑える食事

糖分の多い食材に偏ったメニューは避ける。
Q

どうして糖分を気にしなければならないの?

A

糖分をたくさん摂ると脂肪が増えやすいからです。
食事の後には血糖値が上がります。特に糖分の吸収が早い食材では食後の血糖値は非常に高くなる場合があります。

いわゆる、血液ドロドロ状態です。
このときすい臓からインシュリンが分泌され血中の糖分を大急ぎで細胞内に取込んで燃焼させようとします。

ここで最初から細胞内にあった脂肪は燃焼に使われず溜まったまま、運動量が少ないとあわてて取込んだ糖分も脂肪細胞に取込んで蓄えるため脂肪は増える一方です。

なるべく糖分がゆるやかに吸収される食材を使用する。【パンや麺よりご飯!】
Q

どうしてご飯が、パン、麺類などよりおすすめなの?

A

ご飯は、パンや麺類より消化吸収がゆるやかだからです。
短い時間で消化吸収できる食材で糖分を含むものは食後に血糖値が急激に上がるため、これに反応してインシュリンの分泌が多くなり、上記のように脂肪の蓄積が活発に行われます。
たとえば、パン、麺類などは穀物を一旦粉にして加工されるため消化吸収が早く、対照的にご飯は粒状のため消化吸収がゆるやかで血糖値の上昇は粉を原料とするものより少なめです。

糖分と脂肪を同時に摂取するような組合せを避ける。
Q

脂っこい食事の後で、甘いデザートを食べるのはよくないの?

A

脂肪分と糖分をいっしょに摂ると脂肪がさらに溜まりやすくなります。糖分と脂肪を同時に摂取する(食べ合せる)と血中に取込まれた脂肪は、上記の糖分の代謝に押されて燃焼できず余分な糖分といっしょに、細胞に取込まれ脂肪の蓄積に拍車がかかるのです。
単に油料理の後に甘いものを食べるという組合せだけでなく、洋菓子には脂肪分と糖分を両方含むものが多く要注意です!

油を使わない料理法を積極的に利用する。
Q

「揚げ物」や「炒め物」って健康によくないの?

A

油を多量に使用するため脂肪が溜まりやすくなります。油を使用せず焼く「焼き魚」や網焼き、「煮物」などをなるべく多く取り入れましょう。
おすすめなのは「蒸す」料理で、栄養は凝縮、油は落ち、うま味は残るため味付けも薄くて済みます。
味付けを薄く済ますのはどの料理にも共通で、塩分、糖分などの摂りすぎを抑制し、濃い味付けのように必要以上に食欲が出るのを抑えます。
高血圧、肥満の抑制に効果があります。

2.脂肪の蓄積を抑える食習慣

夕食は少なめにする。

Q

夕食を食べ過ぎるとよくないの?

A

「夕食を食べ過ぎた」、「深夜に夜食をとった」などの場合、夕食で吸収した糖分や脂肪はほとんど代謝されず脂肪として体内に蓄積されます。
これは、夜遅くなるに従って脂肪が蓄積されやすくなることが関係しています。
最近の研究で体内のBMAL1(ビーマルワン)というたんぱく質が細胞への脂肪の蓄積の量をコントロールしていることがわかってきました。
BMAL1は午後10時ごろから急増し、午前2時~4時ごろピークを迎えます。そして、午前6時ごろから減り続け、午後6時~10時ごろに最も少なくなります。
BMAL1の量が最大となる深夜は、脂肪蓄積機能もピークに達し、脂肪をため込みやすい状態になっているのです。
朝になるとBMAL1の量が減るのは、太陽光線と関係があるとみられています。
だからBMAL1を減らすには、朝日をしっかり浴びることが重要です。

朝・昼・夕の食事比率を考える。

Q

朝・昼・夕の食事の量はどのくらいがよいの?

A

朝:2、昼:3、晩:1を目安とします。食事の比率はいろいろな説がありますが、上記のように夕食を少なめにし、1つの目安として朝:2、昼:3、夕:1とします。
朝食は起床後の体温上昇、血行を促し、脳の働きを活発にする重要な役目があります。体温を上げるために卵などタンパク質を補う食材を加えましょう。
昼食は1日で最もエネルギーの補給が必要な時間帯ですので、量だけでなくバランスのとれたメニューとしましょう。(なるべく多種の食材を少しずつ)
夕食は上記のように脂肪の蓄積を避け、タンパク質や野菜をメインとしたメニューを最小限摂りましょう。肉なら脂肪の少ない赤身や鳥肉(ムネ肉やささみ)がおすすめです。
また、食事の時間が遅いほど夕食の比率は減らしましょう。

メニュー、組合せを考える

Q

どのようなメニューの組合せがよいの?

A

いろいろな食材・料理を偏りなく食べるようにします。1つの基準として農林水産省が公表している「食事バランスガイド」というのがあります。
これは料理・メニューを「主食」、「副采」、「主菜」、「牛乳・乳製品」、「果物」、「菓子・嗜好飲料」に分け、それぞれ1日に必要な量(充分な量)を規定することで、1日のメニュー配分を管理しようとするものです。

農林水産省/食事バランスガイドとは

ここまで記載した内容と「食事バランスガイド」を前提として1日の食事を組立ててみます。(糖や脂肪を抑え、食事バランスを満たすメニュー)
まず、1日に自分に必要なカロリーの概算を知る必要があります。

簡単な計算

体重(kg)×体脂肪率(%)=体脂肪量(kg) 〔体脂肪率はヘルスメーターなどで測定〕
体重(kg)-体脂肪量(kg)=除脂肪体重(kg)
除脂肪体重(kg)×28.5=基礎代謝量(kcal)
基礎代謝量(kcal)×身体活動レベル=概算摂取カロリー(kcal/日)

身体活動レベル
あまり運動していない 適度に運動している ハードな運動をこなす
1.50 1.75 2.00

もっと精密に計算したい方(食事のメニューや活動内容を反映できます。)

カロリー計算

次に食事バランスガイドからメニューを組立ててみます。
上記で計算した「摂取カロリー」に見合った量になるよう、主食、主菜、副菜などを決めていきます。
例えば、2,200±200kcal必要な人の場合

朝食

ご飯:茶碗1杯、味噌汁:1杯、目玉焼き(卵1個):1皿、
ほうれん草おひたし:小鉢1皿、牛乳:小グラス1杯、
果物:みかん1個

昼食

ご飯:丼ぶり1杯、味噌汁:1杯、焼き魚:1尾、
野菜煮物:中皿1皿、果物:りんご半個

夕食

ご飯:茶碗1杯、刺身:中皿1皿、酢の物:小鉢1皿、
ヨーグルト(無糖):小鉢1皿

  • ※2200kcalとカロリー消費の多い人でも意外と淡白で質素なメニューとなり、人によっては物足りないと思われるかも知れません。
    現代人は高カロリーなメニューに慣れてしまっているためです。

食事は毎日のことですから上記のような淡白なメニューばかりでは、不満が出てきます。食材やメニューのバランスを考慮してバリエーションを増やすには、以下のようなサイトを参照されるとよいでしょう。

公益社団法人 日本栄養士会

運動も生活に取り入れる

Q

食習慣を見直すだけで健康になるの?

A

運動を習慣づけて糖分や脂肪分を燃やすことも必要です。冒頭にも書いたように「メタボリックシンドローム」、ひいては「生活習慣病」を防ぐには食習慣の改善と運動が必要です。
豊田自動織機健康保険組合加入者(40歳以上)のH21年度の質問票によると、「運動習慣がある(週2回 30分以上の運動を1年以上継続している)」と回答した人は全体のわずか17%でした。残り83%の人には、運動習慣がないという結果でした。

運動は食後、30分~1時間を置いてから実施するのがよく、特に食後に活動する頻度の低い夕食後に取り入れるのがベストです。
夕食後の運動習慣を取り入れるなら、運動での消費量を考慮して夕食のカロリーを増やすこともできます。

運動習慣がありますか
(※運動習慣:週2回 30分以上の運動を1年以上継続している)

ただし、ウォーキングなどカロリー消費効率のよい運動は「夕食が遅い」、「夜の外出は危険」などの理由で現実的には困難な方もいるでしょう。

そのような方は、夕食のカロリーを控えつつ、夕食後に入浴する、寝る前に布団やベッドの上でストレッチなどを行う等、夕食の後にすぐ就寝せず、少しでも活動を取り入れてから寝るよう心掛けましょう。

ウォーキングなど効果が期待できる運動は毎日やれればいうことはありませんが、週末など休日でまとまった時間が取れるときに、ある程度時間をかけて実施するのもよいでしょう。

健保組合ではウォーキングも奨励しています。
ウォーキングプログラムに興味のある方は以下のリンクを参照してください。

ウォーキング

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